色材協会誌
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解説
二酸化炭素固定をともなうラジカル重合による高分子の合成
落合 文吾
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2024 年 97 巻 3 号 p. 70-72

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抄録

ポリマー合成と二酸化炭素の反応による固定化を同時に行う系である,グリシジルメタクリレート(GMA)の二酸化炭素によるカーボネート化とラジカル重合の同時進行系を紹介する。GMAはアクリル系モノマーの一種であり,ラジカル重合によってポリマーを与える。側鎖のエポキシ基は,さまざまな変換の起点となり,二酸化炭素との反応では五員環カーボネートとなる。GMAのラジカル重合を,二酸化炭素中にて,ラジカル重合開始剤とアルカリ金属ハロゲン化物などのカーボネート化触媒存在下で行うと,重合と二酸化炭素の固定化がともに進行し,五員環カーボネート構造をもつポリメタクリレートが得られる。本系は,二つの反応を同時に行うことで,エネルギーコストの低下と,プロセスの短縮を実現した。溶媒や添加剤などを選択することで,対応するポリマー微粒子を得ることもできる。

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