色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
透明性酸化鉄顔料の製造
伊藤 征司郎宇都宮 康晴桑原 利秀
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 55 巻 1 号 p. 13-19

詳細
抄録

透明性酸化鉄顔料の製造をコロイド化学的手法を用いて行ない, これに成功した。すなわち, 塩化第二鉄水溶液に陰イオン交換樹脂を加えて透明な陽性の水和酸化鉄ゾルを作り, このゾルに陰イオソ性界面活性剤水溶液を加えてコロイド粒子を凝集させ, この凝集粒子をブラッシングによって有機溶媒相中に移してオルガノゾルとし, これをその系の沸点の温度で還流して水分を除去したのち, 濃縮あるいは有機溶媒を完全に除去してペースト状あるいは粉末状の透明性酸化鉄顔料を製造する方法である。
透明な陽性の水和酸化鉄ゾルを調製するには塩素イオン交換率70~80%で行なうのがよく, フラッシソグは, 陰イオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホソ酸ナトリウムを用いた場合は溶解パラメーターが7.8~9.9の有機溶媒を, ジ (2-エチルヘキシル) スルポコハク酸ナトリウムを用いた場合は, 溶解パラメーターが7.0~9.9の有機溶媒を用いることによって行なうことができる。
本法によって得られた透明性酸化鉄顔料は, 有機溶媒や油性ビヒクル中に容易に分散し, 抜群の透明性を有していた。

著者関連情報
© 一般社団法人 色材協会
前の記事 次の記事
feedback
Top