色材協会誌
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塗装鋼板の耐久寿命予測法に関する研究 (第VII報)
EMMAQUA試験機による塗膜の劣化挙動
竹島 鋭機川野 敏範高村 久雄加藤 繁道
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1983 年 56 巻 7 号 p. 457-470

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抄録

EMMAQUA試験機による熱硬化性および熱可塑性樹脂塗装鋼板の塗膜劣化現象について検討した。その結果, 次のことがわかった。
(1) EMMAQUA試験機では, 時刻および季節によって集光量が変化するとともに, 試料の取付け位置および試料の色によって板温が異なる。
(2) EMMAQUA試験機で集光された光線は, 紫外線光量が少なく赤外線光量が多いので, 太陽光線とは波長分布が異なる。これは, 反射板の光線反射特性に起因している。
(3) アルミニウム製の反射板は優れた光線反射特性を有するが, 経時変化によって紫外線波長域の反射特性がかなり低下する。一方, BA仕上げのステンレス鋼製反射板は, アルミニウムよりも反射特性が劣るものの経時変化は少ない。
(4) EMMAQUA試験時に, 試料の前面に赤外線吸収フィルターを取り付けることによって, 試料の熱劣化がかなり抑制できる。
(5) 熱硬化性と熱可塑性樹脂塗膜とで, EMMAQUA試験機による劣化促進性は著しく異なる。すなわち, 高温耐熱性の劣る熱可塑性塩化ビニル樹脂系塗膜は, 高温耐熱性の良好な熱硬化性ポリエステル樹脂系塗膜などに比べると, EMMAQUA試験の促進率が大きいとともに, 明らかに塗膜表面の熱劣化が認められる。

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