色材協会誌
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オリゴソープの構造と顔料の分散性との関係 (II)
べんがらと酸化チタンの分散
石上 裕鈴木 茂山崎 信助
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1983 年 56 巻 7 号 p. 449-456

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抄録

アニオンオリゴソープ同族体として, 側鎖アルキル基鎖長およびけん化度の異なるマイレン酸ジエチル・アルキル [C2~C16ビニルェーテル交互共低重合体 (n<10) のけん化物] を分散剤に用い, 親水性顔料であるべんがら5種および酸化チタン2種の微粒子に対する水系での分散作用について研究を行った。これらのオリゴソープ同族体は, 顔料粒子表面にアルキル基が吸着してオリゴマー吸着層を形成し粒子に負荷電を付与するため, モノソープよりも優れた分散作用を示した。しかも, これらのオリゴソープは温度や共存物質に対して安定で, 低起泡性であり, さらに水と有機溶剤の双方に可溶であるという特長を有していた。また, オリゴソープは側鎖アルキル基鎖長およびけん化度に依存して分散挙動が相違するが, 一般にアルキル基がC2とC4のものが低濃度であっても有効であった。さらに, べんがらの中で比較的疎水性のものおよびアナターゼ型酸化チタンに対しては, アルキル基鎖長がC8以上と長いか, またはけん化度の小さいオリゴソープが0.1%以上の濃度で大きい分散作用を示した。

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