色材協会誌
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マルチディメンジョナルガスクロマトグラフィーによる塗料用溶剤の分析法
東野 由紀子
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1989 年 62 巻 12 号 p. 737-743

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抄録

塗料溶剤は, 沸点や極性が広範囲にわたり組成が複雑なものを含むため分析は煩雑であり信頼性も十分ではなかった。
一測定で異質の多くのガスクロマトグラフィー情報を得ることを目的にマルチディメンジョナルな方法を検討した結果, 異極性カラムと異種検出器による同時測定で, 次のような迅速で信頼性の高い分析法を開発した。
1. 異極性カラムと異種検出器 (TCDとFID) により分離特性と感度特性の異なる2つのクロマトグラムを得ることができ, 照合解析することによって同定の正確度が大幅に向上し, 分析時間の短縮が図れた。
2. 保持指標の尺度として酢酸エステル系が適していることを見い出した。これにより異極性カラムによる保持値を標準化することが可能になり, 別時測定の保持値の比較が効率的に行えるようになった。
3. 異極性カラムによる保持指標の差は, 分子構造 (官能基) を反映し同定がより正確になった。

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