カーボンブラック-アマニ油分散系におけるレオロジー挙動は主として分散粒子の形成する凝集構造に依存する。本報ではこれを電気伝導度, 定常流粘度, 動的粘弾性の測定を通して検討した。
凝集構造は分散粒子の濃度, 与えられるひずみ, ひずみ速度ひずみ履歴に依存する。そして此の現象はゲル化現象と対応させて論ぜられることが多い。これらの現象はパーコレーション理論によって統一的に表わされる。そこで伝導度および粘弾性関数の濃度依存性を中心に検討した。粘度の濃度依存性から, これが降伏値をもたらす濃度域で発散するであろうことが類推され, これはパーコレーション理論からの要請と合致する。伝導度と弾性率に類似したスケーリング則が適用できることが分かった。両者とも2%以下の臨界濃度域から4~5乗の高いべき指数で濃度に依存することが示された。特に, 微小なパーコレーションしきい値はアマニ油中で形成されるカーボンブラック粒子の凝集構造に特異なものであろう。
一方, せん断履歴と凝集構造との関係は次のような実験によって検討された。せん断速度を急激に減少させた流動場において, 凝集構造再形成に伴い粘度, 伝導度とも増加するが, 伝導度は一旦極大値をとった後, 再び減少した。この時間依存性は大振幅振動変形を停止させた後の貯蔵弾性率の変化に対応しており, これは凝集構造生成破壊の速度定数を見積もった速度式によって説明することができる。
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