色材協会誌
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62 巻, 12 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 高橋 一陽
    1989 年 62 巻 12 号 p. 715-719
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    炎光光度検出器付きガスク菅マトグラフィー (GC-FPD) によって船底防汚塗料から溶出する海水中の微量トリブチルスズ (TBT) およびトリフェニルスズ (TPT) 化合物の同時定量を試みた。
    海水中のTBTおよびTPT化台物を塩酸酸性下で塩化トリブチルスズ (TBTC) および塩化トリフェニルスズ (TPTC) に変換して, ヘキサンで抽出したのち, 水素化ホウ素ナトリウムによりそれぞれの水素化物 (TBTH, TPTH) としてGC-FPDで定量した。分離カラムは化学結合型溶融シリカキャピラリーカラムHiCap-CBP1-W25-300 (OV-1相当, 25m×0.53mm I.D.) を用い, 注入口温度250℃, 検出器温度300℃に設定した。カラム温度は70℃ (1分) から240℃ (10分) まで10℃/分で昇温した。
    その結果, 本法によるTBTC, TPTCの検出限界は, それぞれ0.05ng, 0.2ngであった。また, 海水中のTBTC (28ppb), TPTC (90ppb) の回収率はそれぞれ98.5~101.1%, 92.9~102.8%であった。
  • 安藤 浩一
    1989 年 62 巻 12 号 p. 720-727
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    今回, 等間隔に定置した塗装機より, 塗粒分布を模式化した点対称のパターンを発生している場合の塗膜膜厚分布をコンピュータを用い計算させ, 平滑性の面より評価した。平滑性の評価は塗膜膜厚分布の標準偏差を計算し, 平均値で割り評価値とした。通常の工業塗装方法である連続搬送型のコンベアとレシプロケータを使用した塗装システムによる塗膜の膜厚分布は, 等間隔に定置した塗装機による塗装システムの塗膜膜厚分布より単純に変換できるため, 同システムにおいての評価も可能となった。計算解析対象は塗粒分布の分布状態の変化とパターンの重なり間隔の変化とした。塗粒分布の変化は分布の中心部, 及び周辺部の分布量を変化させた。
    結果として, 重なり間隔を変化させた場合の評価値の変化は波状となり, 重なり間隔が小さい方が平滑性が良好であるとはいえない。また, 評価値が極小値を持つ重なり間隔のうち, 最大のものがそのパターンの有効パターン直径といえる。塗粒分布の変化が起こる位置が変化する場合は, 評価値に対し影響が大きく, 位置が一定で分布量が変化する場合は, 周辺部が変化する影響は大きいが, 中心部が変化する影響は小さい。
  • 甘利 武司, 渡辺 鋼市郎
    1989 年 62 巻 12 号 p. 728-736
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    カーボンブラック-アマニ油分散系におけるレオロジー挙動は主として分散粒子の形成する凝集構造に依存する。本報ではこれを電気伝導度, 定常流粘度, 動的粘弾性の測定を通して検討した。
    凝集構造は分散粒子の濃度, 与えられるひずみ, ひずみ速度ひずみ履歴に依存する。そして此の現象はゲル化現象と対応させて論ぜられることが多い。これらの現象はパーコレーション理論によって統一的に表わされる。そこで伝導度および粘弾性関数の濃度依存性を中心に検討した。粘度の濃度依存性から, これが降伏値をもたらす濃度域で発散するであろうことが類推され, これはパーコレーション理論からの要請と合致する。伝導度と弾性率に類似したスケーリング則が適用できることが分かった。両者とも2%以下の臨界濃度域から4~5乗の高いべき指数で濃度に依存することが示された。特に, 微小なパーコレーションしきい値はアマニ油中で形成されるカーボンブラック粒子の凝集構造に特異なものであろう。
    一方, せん断履歴と凝集構造との関係は次のような実験によって検討された。せん断速度を急激に減少させた流動場において, 凝集構造再形成に伴い粘度, 伝導度とも増加するが, 伝導度は一旦極大値をとった後, 再び減少した。この時間依存性は大振幅振動変形を停止させた後の貯蔵弾性率の変化に対応しており, これは凝集構造生成破壊の速度定数を見積もった速度式によって説明することができる。
  • 東野 由紀子
    1989 年 62 巻 12 号 p. 737-743
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    塗料溶剤は, 沸点や極性が広範囲にわたり組成が複雑なものを含むため分析は煩雑であり信頼性も十分ではなかった。
    一測定で異質の多くのガスクロマトグラフィー情報を得ることを目的にマルチディメンジョナルな方法を検討した結果, 異極性カラムと異種検出器による同時測定で, 次のような迅速で信頼性の高い分析法を開発した。
    1. 異極性カラムと異種検出器 (TCDとFID) により分離特性と感度特性の異なる2つのクロマトグラムを得ることができ, 照合解析することによって同定の正確度が大幅に向上し, 分析時間の短縮が図れた。
    2. 保持指標の尺度として酢酸エステル系が適していることを見い出した。これにより異極性カラムによる保持値を標準化することが可能になり, 別時測定の保持値の比較が効率的に行えるようになった。
    3. 異極性カラムによる保持指標の差は, 分子構造 (官能基) を反映し同定がより正確になった。
  • 西山 逸雄, 高橋 健造
    1989 年 62 巻 12 号 p. 744-748
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    鋭利な切り刃を用いて塗膜の表面から界面にかけて切削し, 塗膜の勇断強度および付着強度を同時に測定する「表面-界面切削法」による塗膜物性の定量的測定法および装置を開発した。
    本測定法は, 実使用の塗膜の物性および経時変化を測定するのに適し, 多層塗膜の各層ごとの測定も可能である。また, 塗膜に限らずコーティング材料や高分子材料の機械強度に関する物性測定にも応用することができる。
  • 河原 友三郎, 中島 孝司
    1989 年 62 巻 12 号 p. 749-754
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    建築構造物などのコンクリートまたは, モルタル外壁面に塗布された塗膜の浮きや膨れを塗装表面から非破壊的に検知する方法として超音波インパルス反射法を試みた。
    鋼材などの内部欠陥の検査用に使用されている超音波探傷器と, これに用いられている振動周波数5MHzの探触子1コを組み合せた測定法と, 振動周波数150KHzの探触子2コを用いた測定法の両者について検討をした結果, 何れもコンクリートと塗膜の境界面における塗膜の浮きを検知できることを認めた。
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