色材協会誌
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キトサンースメクタイト複合系による水溶性色素の固定化 (第II報)
FD&Cアニオン染料/キトサン結合カチオン性ゾルのモンモリロナイト層間への吸着
久保 靖伊藤 純二杉浦 博樹田中 秀貴友田 和一
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1994 年 67 巻 12 号 p. 794-806

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抄録

キトサン/スメクタイト/FD&Cアニオン染料複合系によって人体無害顔料を得るために, キトサンとアニオン染料をあらか『じめ結合させて得たカチオン性ゾルをスメクタイト層間に固定化した。染料としてTartra-zineまたはSunset Yellow FCFを用い, 染料結合量においてアルミニウムレーキに匹敵し, 耐溶出性においてこれを凌駕するものを得た。生成物はスメクタイトより層間隔が4.5~20A拡大した層状構造をもつ。層間のカチオン性ゾルはキトサンが染料アニオンによって架橋されたものであり, 染料含有率が高いほどより緊密化して耐溶出性を高める。また, 官能基を三個もつTartrazineは嵩高い立体的な架橋構造を形成するために, より大きな層間隔を与え, 二個もつSunset Yellow FCFは平面状の架橋構造を形成し, より小さな層間隔を与える。カチオン性ゾル中に過剰アミノ基が存在するとゾルを膨潤させ, 層間隔の増大と耐溶出性の低下をもたらす。

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