色材協会誌
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キトサンースメクタイト複合系による水溶性色素の固定化 (第1報)
キトサン/モンモリロナイト複合担体上へのFD&Cアニオン染料の吸着
久保 靖山梨 益孝富永 佳樹友田 和一
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1994 年 67 巻 12 号 p. 781-793

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抄録

キトサン/スメクタイト複合体はアニオン染料に対する吸着能をもつので, FD&C染料によって染着すれば人体無害顔料を得ることが出来る。本研究では, 着色生成物の調製法として2つのプロセスを試みた。1つはキトサン酢酸溶液とNa形モンモリロナイト懸濁液との混合によって生成する複合体を一旦濾別し, 乾燥・粉末化したのち, 希酢酸溶液に再分散させ染着する2段調製法であり, 今1つは, 複合体を濾別することなくそのまま引き続き染着する1段調製法である。2段調製法で分離されたキトサン/モンモリロナイト複合体は, シリケート層間に平板状キトサンが1層または2層で挿入された構造をもち, 2層構造の間に存在する遊離アミノ基によりアニオン染料吸着能が発現され, 着色生成物においても層状構造が維持される。これに対し1段調製法で得られた生成物には秩序ある層構造が認められないが, 染料含有率がより高く, 耐溶出性もより良い。

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