1997 年 70 巻 9 号 p. 576-583
HBPによるアルミニウムの陽極酸化と電解着色を硫酸濃度を変化させた硫酸スズ (II) 浴中で行い, 得られた皮膜の色彩について検討した。
その結果, 硫酸濃度の低い電解液を用いた場合ほど, 色の濃い着色皮膜が得られるが, 着色可能な電圧範囲は全体に高電圧側に移行した。皮膜中に析出したスズの定量結果と着色皮膜のL*値との間に直線関係が成り立っことを確認した。また, スズ析出量の異なる着色皮膜の断面をEPMAにより線分析したところ, スズの分布範囲はほとんど同じであったが, この理由を, スズ析出物が皮膜の微細孔中で不連続に分布しているためと考えた。