色材協会誌
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カーボンブラック分散系の凝集構造に及ぼす粒子表面処理の影響
石井 千明赤尾 和彦小関 健一甘利 武司
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1997 年 70 巻 9 号 p. 584-590

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抄録

粒子表面性状の異なるカーボンブラック-アマニ油ワニス分散系について, レオロジー測定を行い, その構造と物性との関係を粒子の形成する凝集構造を中心に検討した。カーボンブラック粒子表面を酸化処理し, 酸素含有官能基の多い試料を得た。これら分散系のレオロジー測定を行った結果, 定常流粘度のせん断速度依存性, 動的粘弾性の角周波数依存性において, 未処理粒子分散系に比べ, 酸化粒子分散系の方が高い値を示すことが明らかになった。酸化カーボンブラックは, 未処理試料に比べ3倍以上の比表面積を持っている事から, カーボンブラック表面の酸化によるカルボニル基, カルボキシル基の増加によって極性溶媒であるアマニ油ワニスに良く濡れ, 分散性は向上していると考えられる。しかしながら, 比表面積増大による粒子周辺に溶媒和層として拘束されると共に, 固体内部に吸着される溶媒量が増し, 有効体積分率が上昇し, 更に分散粒子の三次元凝集網目形成が促進されたことにより粘弾性値が上昇したものと考えられる。

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