色材協会誌
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ポリメチルシロキサンオリゴマーの加水分解重縮合および塗膜の硬化に及ぼす錫触媒の影響
岩澤 昭青木 隆一佐々木 博治高橋 俊哉尾本 博明
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2003 年 76 巻 10 号 p. 373-379

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抄録

メチルトリメトキシシラン (MeSi (OMe) 3) の加水分解縮合によりシロキサンオリゴマー (P-MTS) を合成した。モノ (Mono) およびビス (Bis) タイプ錫カルボキシレート存在下におけるP-MTSの可使時間および塗膜の半硬化時間をしらべる目的で、加水分解重縮合に及ぼす錫触媒の影響を検討した。P-MTS溶液の粘度および塗膜の半硬化時間の時間経過にともなう変化をIRNMRスペクトルで追跡した結果、P-MTSの重縮合はモノタイプよりビスタイプで顕著に速く、触媒の加水分解で生じる活性種の濃度によることがわかった。一方、塗膜の半硬化時間は触媒のカルボキシレートのアルキル基がメチルよりラウリル基で活性がいちじるしく高いことが観察された。これは、活性種がアルキル基の立体因子にともなう加水分解性の差により錫オキシドとなり失活するためと推測された。以上の結果より、触媒の錫カルボキシレートの構造がP-MTSの重縮合とその塗膜の硬化に顕著な影響を及ぼすことが明らかにされた。

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