2003 年 76 巻 11 号 p. 428-433
メルカプト酢酸で表面修飾した金ナノ粒子と陽イオン性高分子であるポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド (PDC) との相互作用を調べた。比較として界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド (HTAB) を用いて修飾した金ナノ粒子との相互作用も検討した。二つの修飾した金ナノ粒子の平均直径は5.7と12.9nmであった。大部分の実験は修飾した金ナノ粒子の濃度を固定し, PDCの濃度を変化させpH3と8で行った。可視紫外分光ならびに透過電子顕微鏡測定から, pH8において修飾した金ナノ粒子 (5.7nm) はPDCの添加濃度の増加にともない徐々に凝集する。一方, 修飾した金ナノ粒子 (12.9nm) はPDCの低い濃度で凝集するが, PDC濃度が高くなると金ナノ粒子はよく分散した。pH3では二つの金ナノ粒子ともPDCの濃度増加にともない分散-凝集-再分散を示した。これらの相互作用はおもに負電荷を帯びた金ナノ粒子と正電荷を帯びたPDCとの静電的な引力によるものと考えられ, また, pHにも影響される。修飾した金ナノ粒子とHTABとの系においては金ナノ粒子はHTAB濃度の増加にともない分散-凝集-再分散を示した。再分散は金ナノ粒子表面でのHTABの二層吸着層の形成によるものsと考えられる。