2004 年 77 巻 5 号 p. 207-212
シリカへの2-ナフトールの吸着可溶化を陽イオン性多鎖型界面活性剤, ジェミニ型 (10-2-10, 12-2-12) と三鎖型 (10-2-10-2-10, 12-2-12-2-12) を用いて調べた。比較として一鎖型のドデシルトリメチルアンモニウム ブロマイド (DTAB) も用いた。全ての界面活性剤の系において, 界面活性剤の吸着は濃度の増加にともない増え, 飽和に達した。一方, 2-ナフトールの吸着可溶化は界面活性剤の濃度とともに増加し, 最大値を示した後減少した。最大吸着可溶化における界面活性剤の吸着量に対する吸着可溶化量の比の大きさは10-2-10-2-10>2-2-12-2-12>12-2-12=DTAB>10-2-10の順となった。また, 吸着している界面活性剤の炭化水素鎖あたりの比は10-2-10-2-10=12-2-12>12-2-12-2-12=10-2-10となり, DTABの比は他の界面活性剤に比べて著しく大きな値であった。これらの結果は界面活性剤吸着層の充填度により説明される。また, 吸着可溶化に及ぼす界面活性剤の構造の効果についても2-ナフトールのアドミセル分配係数から議論した。