色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
固相反応法によるタングステン酸およびモリブデン酸テルビウムアルカリ金属の調製とその発光特性
小田喜 勉橋本 和明戸田 善朝
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 79 巻 12 号 p. 519-525

詳細
抄録

近紫外LED用の緑発光蛍光体としてLiTbW2O8を調製し, その発光特性を検討した。また, 発光強度を改善するなや, アルカリ金属イオンおよびMo6+イオンの置換を試みた。LiTbW2O8はTb3+イオンの4f-4f遷移によってシャープな励起・発光スペクトルを示した。また, Li+イオンサイトにアルカリ金属イオンを置換するように調製した結果, Na+イオン40 mol%, K+イオン6mol%置換した生成物で発光強度の向上がみられた。これはアルカリ金属イオンを置換することによって300~450nmの拡散反射率が変化することに起因している。一方, W6+イオンサイトをMo6+イオンに置換することによって発光強度蛙著しく低下した。これはMo6+イオンの置換量の増加によって共有結合性が増大し, Tb3+イオンの5d準位が低いエネルギー位置にシフトするためであると考えた。このことから, LiTbW2O8では5d準位を利用したTb3+イオンへの増感効果は期待できないと考えた。

著者関連情報
© 一般社団法人 色材協会
次の記事
feedback
Top