2006 年 79 巻 12 号 p. 526-534
マイカ基板に二酸化チタンを被覆した粒子から二酸化チタンを剥離して得た二酸化チタン板状粒子を出発原料として用い, それを還元処理して黒色基板とし, さらにそれに所定量の二酸化チタンを被覆させることによって白色台紙上でも各種の光于渉発色する顔料を得ることができた。このように基板を黒色化することで塗膜とした際の下地に黒色を用いた場合と同じように透過光を吸収する光干渉発色顔料を得ることができた。
得られた顔料の色相制御は, 原料の黒色基板に滴下した四塩化チタンの滴下量の増加に従い, すなわち黒色基板に被覆された二酸化チタン量の増加とともに分光反射率曲線の反射ピークは長波長側にシフトし, 140nm厚さの原料基板を用いた場合には青紫色から青色, 緑色, 黄色, 金色, 赤色へと変化し, 220nm厚さの原料基板の場合には赤紫色から青紫色, 緑色へと変化した。これらの顔料粒子の星さを調べた結果, 顔料粒子全体の厚さと干渉発色の色相との間に相関性を認めた。また, 原料とした二酸化チタン基板には局い光触媒性を有していたが, 黒色化する際の還元処理およびシリカ被覆処理によって, その光触媒性を低下させることができることも明らかにした。