神経眼科
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原著
視神経炎の治療前後における黄斑部網膜内層厚の変化
尾崎弘典大塚 光哉林 篤志
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2014 年 31 巻 4 号 p. 464-469

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抄録

視神経炎では軸索の変性の結果,網膜神経節細胞が失われるが,その損失を磁気共鳴画像で定量化するのは困難である。視神経炎における黄斑部網膜神経節細胞の損失を定量化するため,視神経炎と診断され,視力が1.0以上に回復した視神経炎の症例9例10眼を対象とし,ステロイドパルス治療前後の黄斑部網膜内層厚の解析を行った.光干渉断層計(OCT)を用いて中心窩より直径3mmおよび6mmの鼻側,耳側,上側,下側の各象限の黄斑部網膜内層の平均厚を測定した.いずれの区域でも,治療前および僚眼に比較して治療後に網膜内層の菲薄化を認めたが,特に6mm鼻側,3mm耳側,3mm下側の区域で強い菲薄化を認めた.ステロイド治療により視力,視野が改善しても,OCTで黄斑部網膜内層の平均厚を測定すると,黄斑部の全ての区域で網膜内層の平均厚が平均8~18μm減少していた.OCTは視神経炎における網膜神経節細胞の損失を評価するのに有用である。

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© 2014 日本神経眼科学会
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