神経眼科
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最新号
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巻頭言
原著
  • 三好 政輝, 木村 亜紀子, 岡本 真奈, 三村 治, 五味 文
    2021 年 38 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

    目的:本態性眼瞼痙攣(BS)に対するA型ボツリヌス毒素(BTX-A)注射時の局所麻酔薬エムラ®クリーム塗布による鎮痛効果について検討する.

    対象と方法:30歳以上80歳未満のBS患者で,2019年7月~10月の間に初めてBTX-A注射を受ける患者(初回群)と5回以上継続してBTX-A注射を受けている患者(継続群)を対象とした.エムラ®クリームは注射部位に1か所2 mgずつ塗布し,食品用ラップフィルムで30分間覆い,拭き取ってからすぐにBTX-A注射を行った.痛みの評価にはvisual analog scale(VAS)を用いた.研究1では,初回群に対し患者にはどちらかわからないように右眼にエムラ®クリーム,左眼にヒルドイド®ソフト軟膏を塗布し,32G針を用いて片眼6か所ずつBTX-Aを注射し痛みを評価した.研究2では,継続群に両眼瞼にエムラ®クリームを塗布し,過去の痛みと今回の痛みを比較した.検定にはpaired-t-testを用いた.

    結果:研究1は11例(平均年齢61.6±12.5歳,男性2例,女性9例)あり,VASスコアは,平均右眼23.5±8.30,左眼58.4±18.6,で有意に右眼が低値であった(p<0.0005).研究2は76例(平均年齢65.7±9.1歳,男性21例,女性55例)あり,過去のVASスコアは平均70.4±22.0,今回が26.4±21.3で有意に低値であった(p<0.0001).

    結論:エムラ®クリームは,BTX-A注射時の疼痛緩和に有効であった.

  • 若倉 雅登, 曽我部 由香, 原 直人, 山上 明子, 加茂 純子, 福村 美帆, 奥 英弘, 仲泊 聡, 三村 治
    2021 年 38 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

    【目的】眼球や視路に原因を求められないが,日常的に保有視覚を阻害されてしまう場合がある.この実態をさぐるために,全国的に臨床的特徴を検討すること.

    【方法】日常的に保有視覚が常時阻害されている症例を,神経眼科およびロービジョンの専門家の有志でワーキンググループ(WG)にて収集した.2018年11月から2019年4月までの6か月間に眼瞼痙攣,心因性視力障害,詐病を除く上記に見合う症例をWGのメーリングリスト上で報告し内容を検討した.最終的に以下の二次的除外基準を設けて症例を絞り込み,その臨床的特徴を考察した.1)頭部MRIなどで病変が同定できる症例,2)視覚に影響を及ぼす精神疾患が確定している症例,3)眼位,眼球運動障害による視覚障害が出現している症例である.

    【結果】最終的に対象となった症例は33例(16歳から80歳,男女比(9:24))が収集された.これらの臨床的特徴を解析すると,非眼球性羞明26例,眼痛5例と視覚性感覚過敏が目立った.両者とも有する例が21例,両者ともないものが1例であった.これらの多くは注視努力(企図または遂行)によって症状が悪化する傾向にあった.33症例の報告の内容から,3例以上に共通して随伴していた臨床的特徴としては脳脊髄液減少症,片頭痛,ベンゾジアゼピン系薬物の連用,線維筋痛症があった.

    【結論】眼球や視路に原因がないのに,日常視を妨げる恒常性の羞明や眼痛を有する症例が少なからず存在することがわかった.これらは,視覚関連高次脳機能障害のうち,感覚過敏が前面に出たものと考察できるが,詳細なメカニズム解明は今後の問題である.

症例報告
  • 田辺 美乃梨, 大久保 真司, 宇田川 さち子, 武田 暢生, 島田 美紅, 杉山 和久
    2021 年 38 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     44歳女性.左眼瞼下垂と複視を自覚し,初診.初診時の瞼裂高は左右差なく,左眼内斜視,外転制限がみられた.対光反射は異常なし.5日後に左顔面の痛みを自覚し再診.暗所で著明な瞳孔不同(R>L)と左眼の軽度瞼裂狭小がみられ,左外転神経麻痺,Horner症候群および三叉神経痛が疑われた.造影MRIとMRA施行し,左内頸動脈海綿静脈洞廔が疑われ,DSAを施行したがシャント所見はなく,眼窩部MRIを再施行し上咽頭癌が疑われた.FDG-PETにて左蝶形骨洞背側縁にFDG集積がみられ,生検にて上咽頭癌と診断された.外転神経麻痺とHorner症候群の合併では海綿静脈洞後方病変を疑い,上咽頭腫瘍も念頭に置き,MRI撮影時には上咽頭を十分含み冠状断が必要である.

  • 奥野 高司, 奥 英弘, 池田 恒彦
    2021 年 38 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     39歳男性.右眼の明所での急激な視野狭窄と霧視を主訴に大阪医科大学眼科を紹介受診した.矯正視力は両眼とも1.0で,ゴールドマン視野では両眼とも暗点を認めたが,蛍光眼底造影検査でも眼底に異常を認めなかった.光干渉断層計や暗順応下の桿体系網膜電図(ERG)や混合反応のERGはほぼ正常範囲内であったが,明順応下の錐体系ERGは障害されていた.黄斑局所ERGも障害されていた.急性帯状潜在性網膜外層症(acute zonal occult outer retinopathy:AZOOR)の診断基準により,AZOORの確定例と診断した.一般的にAZOORは錐体だけでなく桿体も障害されることが多いが,本例は比較的稀な選択的に錐体機能の障害を示したAZOORの1例と考えられた.

  • 赤岡 さくら, 新明 康弘, 大澤 昌之, 長谷川 綾華, 鈴木 佳代, 新海 晃弘, 水門 由佳, 田川 義晃, 石田 晋
    2021 年 38 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     White-eyed blowout fractureの1例を報告する.症例は10歳,男児.野球中にボールが右眼に当たり,意識混濁と嘔気を認め,当院救急外来へ搬送.翌日当科を受診した.右眼底に網膜震盪症がみられたが,矯正視力は両眼とも1.2と良好であった.眼窩部CTでは右眼内壁の閉鎖型骨折が疑われたが,患児からは複視の訴えはなく経過観察とした.しかし受傷3日後から,複視に気づき近医を受診.そこで右眼の内転制限を認め,当科再診となった.眼窩MRIを追加撮像したところ,CTで異常を認めた同部位に軟部組織の絞扼所見があらためて確認され,手術適応につき形成外科にコンサルトした.受傷1か月後に右眼窩内壁骨折に対し観血的整復術を施行したところ,3-5 mmの骨膜が線状骨折部位に嵌頓していたため,それを外して整復したところ,術後に複視は完全に消失した.本症例は右内直筋周囲組織の骨折部位への嵌頓がCTのみでは確定に至らず,手術まで時間を要したが,良好な予後を得ることができたと考えている.

  • 後藤 克聡, 三木 淳司, 荒木 俊介, 瀧澤 剛, 眞鍋 優, 家木 良彰, 桐生 純一
    2021 年 38 巻 1 号 p. 30-36
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     外傷性視神経症(TON)の2例における光干渉断層計による網膜内層厚と相対的瞳孔求心路障害(RAPD)の経時的変化を報告する.

     ステロイドパルス療法後12か月まで経過観察できたTONの2症例.RAPDの定量はRAPDx®によるRAPD振幅(log units)を用い,神経節細胞複合体(GCC)厚は僚眼に対する患眼の減少率(%)を算出した.症例1:57歳,男性.初診時の左眼視力は手動弁で,左眼RAPD陽性だった.GCC厚減少率とRAPD振幅は,初診時:1.1・5.03,1か月:23.3・2.80,3か月:34.4・2.80,6か月:38.9・2.93,12か月:35.6・3.11で,最終視力は0.08だった.症例2:51歳,男性.初診時,左眼視力は手動弁で,左眼RAPD陽性だった.GCC厚の減少率とRAPD振幅は,初診時:0.9・6.51,1か月:19.8・3.39,3か月後:28.8・2.71,6か月:31.0・2.60,12か月:31.0・2.20で,最終視力は1.2だった.

     TONの早期診断にはRAPDの検出が有用であり,網膜内層厚とRAPDの経過は乖離した.

  • 松尾 純子, 奥 英弘, 戸成 匡宏, 菅澤 淳, 池田 恒彦
    2021 年 38 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体陽性の重症筋無力症(MG)は,病初期から球麻痺症状をきたし,眼筋型MGで留まることはまれであると報告されている.今回,抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体陰性,抗MuSK抗体陽性の眼筋型MGを経験したので報告する.

     症例は64歳女性で,両眼の眼瞼下垂と複視を主訴に受診した.塩酸エドロホニウム(テンシロン)テストは陰性で抗AChR抗体も陰性であった.症状の日内変動があり,検査中に眼位が変動しやすく,MGが除外しきれず,抗MuSK抗体を測定した.抗MuSK抗体は陽性(47.5nmo/L)で,抗MuSK抗体陽性MGと診断した.全身型MGを疑い,神経内科入院となったが,正中神経と副神経の反復刺激試験は陰性,胸部CTで異常なし,明らかな全身症状はなく,眼筋型MGと診断された.プレドニゾロン内服が開始され,現在は薬理学的寛解に至っている.抗MuSK抗体陽性MGでは,まれではあるが,眼球運動系に限局した症状を呈する症例があると考えられた.

  • 手塚 雄太, 原 雄時, 忍田 栄紀, 鈴木 利根, 町田 繁樹
    2021 年 38 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     症例は15歳の男児.剣道の練習中に竹刀の破片が防具を通過し,右上眼瞼部から刺入したため,当センターに救急搬送された.初診時,右視力は手動弁で,右直接対光反応は陰性であった.頭部CTでは右眼窩内視神経の上鼻側近傍を通過し,海綿静脈洞まで達する線状異物を認めた.受傷当日に異物摘出術を行い,ステロイドパルス療法を開始し,その後ステロイド内服にて漸減した.右矯正視力は1.2まで改善したが,右視野検査で下方の傍中心暗点が残存した.受傷後早期のスペクトラルドメイン光干渉断層計では所見を認めなかったが,2週目より神経節細胞複合体厚及び乳頭周囲網膜神経線維層厚で下方傍中心暗点に一致した菲薄化が観察された.本症例では迅速で適切な処置が比較的良好な視機能に繋がったと思われた.

  • 廣川 貴久, 西川 優子, 戸成 匡宏, 奥 英弘, 池田 恒彦
    2021 年 38 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

     貧血が主要な原因と考えられた頭蓋内圧亢進の一例を経験した.症例は16歳,女性,霧視を主訴に近医を受診し,うっ血乳頭の疑いで本学紹介受診した.頭蓋内病変は認められなかったが,血液検査で強い貧血を認め,標準体重から150%以上の肥満があった.特発性頭蓋内圧亢進症を疑い,アセタゾラミド内服,高浸透圧利尿剤点滴で治療を開始したが,うっ血乳頭は改善を認めなかった.貧血精査の過程で婦人科受診し,過多月経に対して女性ホルモン薬が投与され,貧血の改善とともに,うっ血乳頭,視力,視野所見の改善を認めた.貧血は頭蓋内圧亢進の原因となるため,頭蓋内圧亢進症が疑われた場合,貧血の有無を確認し,貧血の治療を行う必要があると考えられた.

話題
原典で読む神経眼科シリーズ
編集者への手紙
English Section
  • Ryo Mukai, Enkhgerel Nyamdavaa, Hideo Akiyama
    2021 年 38 巻 1 号 p. 68-78
    発行日: 2021/03/25
    公開日: 2021/04/03
    ジャーナル 認証あり

    Purpose: To describe the prevalence and clinical characteristics of optic neuritis or neuropathy observed in the Ophthalmology Department of Gunma University Hospital.

    Methods: In this retrospective study, consecutive patients with suspected optic nerve disorders seen at Gunma University Hospital from January 2016 to March 2019 were reviewed. The inclusion criteria were:(1)unilateral or bilateral acute visual disturbance or visual field disturbance;(2)positive relative afferent pupillary defect in unilateral cases or abnormalities in the optic disc. However, if anti-aquaporin 4(AQP4)or anti-myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)antibodies or mitochondrial mutations were detected and both eyes revealed visual impairment, then both eyes were included; and(3)in bilateral cases, all patients required disc abnormalities in both eyes and magnetic resonance imaging(MRI)showing high-intensity in both optic nerves,(4)with no other retinal diseases. Then, the origins of optic neuritis or neuropathy were defined in all cases. All clinical characteristics were analyzed.

    Results: A total of 112 eyes of 93 patients matched the criteria. Seventy-four patients showed unilateral acute visual impairment, and 59 eyes showed relative afferent pupillary defect and/or disc abnormality in 48 eyes. High-intensity MRI in the affected optic nerve was detected in 51 patients. Conversely, 38 eyes of 19 patients had bilateral acute visual loss, and a disc abnormality was detected in 20 eyes. MRI was abnormal in 25 optic nerves. Overall, major causes of optic neuritis or neuropathy were:(1)idiopathic optic neuritis(33 eyes of 32 cases, mean age ± standard deviation [years]: 49.8±16.4);(2)ischemic optic neuropathy(14 eyes of 14 cases, 71.4±11.4);(3)anti-AQP4 antibody-positive optic neuritis(12 eyes of eight cases, 53.2±14.0);(4)anti-MOG antibody-positive optic neuritis(five eyes of three cases, 10±10.6);(5)optic neuropathy due to compression by an orbital tumor(five eyes of five cases, 65.0±18.1);(6)Leber hereditary optic neuropathy(10 eyes of five cases, 51.8±12.2);(7)traumatic optic neuropathy(three eyes of three cases, 29.8±15.4);(8)rhinogenic optic neuropathy(three eyes of three cases, 61.0±12.0); and(9)optic neuropathy due to orbital apex syndrome(three eyes of three cases, 71.0±2.9). However, a definitive cause of optic nerve disorder could not be determined in 22 eyes of 16 cases.

    Conclusions: The most common cause of optic nerve disorder in the patients examined in our department was idiopathic optic neuritis. Furthermore, ischemic optic neuropathy was the major cause in older patients.

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