神経眼科
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特集
我が国におけるレーベル遺伝性視神経症の認定基準と全国疫学調査
中村 誠上田 香織
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2017 年 34 巻 3 号 p. 293-

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抄録

日本神経眼科学会は,厚生労働省網脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班と合同で,レーベル遺伝性視神経症(Leber hereditary optic neuropathy:LHON)の指定難病認定を目的に,認定基準策定ならびに全国疫学調査を行った.認定基準は,特徴的な主徴候と検査所見を基にLHONを確定例,確実例,疑い例,保因者に区分した.日本眼科学会専門医制度認定施設ならびに日本神経眼科学会会員在籍施設の合計1,397施設に対して,2014年1年間に新規で発症し,ミトコンドリアDNA 3460, 11778, 14484変異のいずれかを有するLHON確定例と確実例の症例数ならびに男女の内訳をアンケート調査した.その結果,新規発症患者数は117人(95%信頼区間:81~153人)と推計された.11778変異例が86.4%,男性が90%以上を占め,ともに海外に比較し,高い割合であった.発症年齢の中央値は30歳を超えており,既報よりも高齢であった.認定基準の策定と患者数の特定は,当初の目的達成に加えて,一般眼科医の啓蒙ならびに研究者や企業の治療開発意欲の促進に資するであろう.

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© 2017 日本神経眼科学会
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