神経眼科
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原著
東北大学における眼窩先端部症候群19例の検討
二宮 高洋檜森 紀子吉田 清香三島 史子竹下 孝之中澤 徹
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2019 年 36 巻 4 号 p. 404-409

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抄録

目的:眼窩先端部症候群は原因が多岐に渡るため病因の鑑別が重要である.しかし,これまで多症例で本疾患を検討した報告は少ないため,当科で経験した症例における原因や治療内容,再発の有無について検討した.

対象と方法:2014年から2018年に当科を受診した眼窩先端部症候群19例(男:女=6:13,平均年齢:68.6±13.4歳)の臨床的特徴を診療録に基づいて検討した.診断方法は臨床経過,視力,視野検査,MRI画像検査をもとに神経眼科を専門とする眼科専門医による判定を行った.

結果:原因としては,特発性が7例,多発血管炎性肉芽腫症などANCA関連血管炎が5例,真菌感染症が3例,IgG4関連疾患が2例,腫瘍性疑いが1例,その他自己免疫疾患が1例であった.ステロイドパルス治療は19例中14例で施行されており,そのうち8例で治療後矯正視力1.0以上と改善がみられた.全く改善がみられなかった症例は,後に真菌感染性と判明したもの,腫瘍性疑いのものであった.

考案:眼窩先端部症候群は初診時に確定診断を得られない症例が多く,全身疾患に伴うものも多いことから,他科との連携を行いながら鑑別を進めて行くことが重要である.

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© 2019 日本神経眼科学会
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