神経眼科
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特集
難治性視神経炎(ステロイド抵抗性視神経炎)におけるIVIG治療の臨床について
三村 治
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2021 年 38 巻 4 号 p. 357-365

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抄録

 メチルプレドニゾロン大量静注(IVMP)に難治な急性期視神経炎(ON)の重度視力障害患者の治療手段は限られている.IVMPが無効な場合にはグリア関連自己抗体の有無にかかわらず血漿交換を含む血液浄化療法(BPT)が考慮される.難治性ONに対するBPT使用は増加しているが,その治療効果と安全性は今なお議論のあるところである.さらにBPTは低カルシウム血症,感染などのリスクがあり,透析装置や透析専門医の必要性があることから常に可能なわけではない.免疫グロブリン大量静注(IVIG)療法は特殊な器械を使わずに施行できるメリットがある.この方法は眼科医や脳神経内科医が,ステロイド難治性ON治療の重要な因子である,即時に開始できるということを可能にする.この総説ではいくつかの面,すなわち動物モデル,異なる方法での臨床治験,肯定的な症例シリーズから視神経炎急性期のIVIGの最新のエビデンスの文献をレビューした.さらに日本でステロイド難治性ONに対して行われた多施設,二重盲検,ランダム化,対照治験の解説を行った.これらの結果に基づきIVIGはステロイド抵抗性ON患者に有用な治療法と考える.

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© 2021 日本神経眼科学会
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