2022 年 39 巻 4 号 p. 287-292
中枢神経系機能の解析手法の一つである電気生理学的手法,その中でも特に個々の神経細胞の電気的活動を測定するsingle-unit recording法を用いた研究について紹介する.Single-unit recording法は覚醒下の動物から時間的・空間的に高い解像度で神経活動を解析することが可能であり,認知神経科学の分野で広く用いられている手法である.本稿では,まず当該手法について概観した後,筆者が研究対象としている社会的認知機能,特に自己と他者の行動情報処理に関わる,マカクザル上側頭溝中間部の神経活動解析について解説する.