神経眼科
Online ISSN : 2188-2002
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原著
半側空間無視と同名半盲に対する視線計測装置を用いた眼球運動の評価指標の検討
清水 美佳岡 真由美米田 剛山下 力三木 淳司用稲 丈人平岡 崇
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2024 年 41 巻 1 号 p. 24-32

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抄録

【目的】左半側空間無視(USN)と左同名半盲(HH)に対し,視線計測装置(Gazefinder)を用いて衝動性眼球運動(SEM)と滑動性眼球運動(SPEM)を測定し,視覚的注意特性を捉える評価指標の臨床応用の可能性を検討した.

【方法】対象は20歳女性の左USN 1例(右基底核静脈奇形による出血)と43歳女性の左HH 1例(右後大脳動脈領域の急性期脳梗塞)であった.眼球運動の評価指標はSEM視線移動量,左右空間のSEM視点取得率,SPEMのSEM混入回数とした.

【結果】視標振幅30°のSEM視線移動量は,左USNで7.2~23.8°,左HHで28.0~29.6°であった.左右空間の視点取得率は,右空間で左USNが82%,左HHが96%,左空間で左USNが12 %,左HHが91 %であった.SPEMのSEM混入回数は,左USNが1~6回,左HHが2~3回であった.

【結論】評価指標はUSNとHHで異なるパターンを示したことから,眼球運動の定量的評価指標となり得ると考えられた.

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