抄録
サステナブルファイナンス(ESG投資)と信用格付の関係については、近年、実際にESG要素をもとにした格付変更アクションも多数見られ、多くの信用格付機関でもESG要素を格付付与に際して考慮することに賛同している。既存研究を見る限り、ESGスコアが高い企業は、一般的に低いスプレッドや高い信用格付を得るとの研究が多いが、一部の研究では無相関やネガティブな関係も指摘されている。他方で、分析にあたっての内生性の問題やESGスコアのバラツキなどの課題も指摘されている。グリーニアムの存在は、ESG債における謎のひとつであり、引き続き興味深い研究課題である。いずれにせよ、最近のESG債発行の急増を受け、関連研究は近年増加しているが、今後さらなる研究の蓄積が求められる。