心臓
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症例
さまざまな心臓手術後の上室性・心室性不整脈に対し集学的治療を要した陳旧性広範前壁心筋梗塞の1例
藤野 剛雄的場 哲哉向井 靖西坂 麻里井手 友美肥後 太基多田 英生竹本 真生戸高 浩司樗木 晶子砂川 賢二
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2009 年 41 巻 12 号 p. 1382-1388

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抄録

症例は72歳,女性.陳旧性広範前壁心筋梗塞に伴う重症心不全に対してDor手術,Maze手術,僧帽弁置換術,三尖弁縫縮術を施行後であった.心房頻拍を契機に心不全が増悪して入院し,ビソプロロールとアミオダロンにより心拍数コントロールおよび心不全改善に成功していったんは退院した.しかし退院後に再び心不全が増悪し,心室頻拍の出現を認め緊急入院となった.入院後,薬物による心房頻拍のコントロールが困難となり,心不全に対する集中治療を必要とした.心不全改善後,上室性頻拍に対して高周波カテーテルアブレーションを行った.三次元マッピングシステムにより心房粗動および複数の心房頻拍を確認し,それらに対してアブレーションを施行して上室性頻拍の抑制に成功した.その後,両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器を植え込み,薬物療法とあわせて集学的治療によって上室性不整脈および心室頻拍のコントロールが可能となった.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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