心臓
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症例
98歳の急性心筋梗塞に対し経皮的冠動脈形成術を行い救命できた1例
長尾 強志伊藤 一貴坪井 宏樹鶴山 幸喜
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2009 年 41 巻 7 号 p. 791-796

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抄録

症例は98歳,女性.介護老人福祉施設に入所中であったが,胸部圧迫感が出現したため救急搬入された.心電図ではV1~3誘導でST部分の上昇が認められ,血液検査では心筋逸脱酵素値の上昇が認められた.緊急で施行した冠動脈造影では左前下行の中間部に血栓形成を伴った高度な造影遅延が認められる99%の狭窄病変が認められた.このためIABPによる補助循環療法を行いながら,経皮的冠動脈形成術を行った.術後,シースを介してIABPカテーテルを抜去し,両側大腿動脈においてangiosealによる止血を施行することにより安静解除を早期に行った.術後のICU症候群や出血など合併症も認められず,早期から心臓リハビリテーションを行うことができた.超高齢者においても,IABPや止血デバイスを用いることにより安全に治療を行うことができた.

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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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