心臓
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第21回 臨床不整脈研究会
頻発する心室性期外収縮のカテーテル焼灼術により心機能が正常化した1例
深谷 英平庭野 慎一桐生 典郎黒川 早矢香畠山 祐子佐藤 大輔湯本 佳宏森口 昌彦平松 慎右和泉 徹
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2009 年 41 巻 SUPPL.4 号 p. S4_142-S4_148

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抄録
 症例は16歳, 男性. 2006年6月頃より労作時の息切れを自覚するようになり近医を受診. 頻発する心室性期外収縮 (VPC), 心エコー図で心機能の低下, 左室拡大を認めたため精査加療目的で当院を紹介受診となった. 心電図では左脚ブロック下方軸のVPCが頻発し, 胸部X線でも心胸比は58%と心拡大を認めた. ホルター心電図では22,393回/日の単形性VPCを認め, 心エコー図では壁運動はび漫性に低下し, 左室駆出率は42%であった. 冠動脈造影では有意狭窄は認めず, 左室造影では同様にび漫性の壁運動低下と, 左室の拡大を認めた. 左室心内膜下心筋生検では間質の線維化と心筋の融解像を認めた. 心臓電気生理学的検査で右冠尖近傍に最早期興奮部位を認めるVPCを認め, 同部位への通電によりVPCの消失を認めた. 経過1年後には心胸比44%, 心エコー図でも左室壁運動は正常化し, 左室駆出率は62%と回復した. 当初拡張型心筋症を疑わせる心機能低下があったが, VPCのカテーテルアブレーションのみで心機能が正常化した1例を経験したため報告する.
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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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