心臓
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第21回 臨床不整脈研究会
右室心尖部からのペーシング開始後に肺水腫をきたし, 左室リードを追加した超高齢者完全房室ブロックの1例
坂部 茂俊笠井 篤信渡邉 清孝大村 崇河村 晃弘世古 哲哉宮武 真弓濱口 真紀戸上 奈央別當 勝紀
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2009 年 41 巻 SUPPL.4 号 p. S4_71-S4_75

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抄録
 症例は87歳, 男性. 2008年5月16日に労作時呼吸困難感を主訴に受診した. 心拍数38回/分で完全房室ブロックがあり, 胸部X線写真では右側優位に肺うっ血所見と少量の胸水を認めたが, 心臓超音波検査で左室収縮機能は正常で, 冠動脈造影検査で有意狭窄を認めなかった. 入院当日dual chamber pacemakerを移植し, 心室ペーシングリードは右室心尖部に留置した. しかし第3病日に突然肺水腫をきたし, 心臓超音波検査で左室にたこつぼ型心筋症様の収縮異常が認められた. うっ血性心不全と診断し薬物療法を行ったが改善しないため第8病日に左室リードを追加し左室ペーシングとしたところ左室収縮能は急激に正常化し, 肺水腫も消失した. 収縮能は保たれているが拡張不全のある完全房室ブロック患者に, 心臓再同期療法が効果を示した1例と考えられた.
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© 2009 公益財団法人 日本心臓財団
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