心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例
うっ血性心不全に合併した睡眠呼吸障害に対してadaptive servo ventilato(r ASV)治療により洞調律化を認めた著明な左房拡大を伴った心房細動の1例
粕谷 秀輔中村 啓二郎高橋 真生野池 博文東丸 貴信白井 厚治
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 42 巻 10 号 p. 1340-1346

詳細
抄録

症例は62歳, 男性. 2 型糖尿病, 高血圧症で外来通院中であったが, 2005年12月に心不全を発症. 2007年3 月に持続性心房細動と心不全増悪をきたし入院. 薬物療法の強化で心不全が安定した. 持続性心房細動を呈していたが, 左房は著明に拡大していたことから電気的除細動は施行せず, rate controlを行い退院とした. しかし, 退院後もNYHA II度の心不全症状が残存, 2007年11月に就寝時に呼吸困難が出現, うっ血性心不全で再入院となった. 酸素投与および利尿薬の増量で心不全は改善を認めたが, 終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography; PSG)でチェーン・ストークス呼吸(Cheyne-Stokes respiration; CSR)を伴う重度の中枢性無呼吸(central sleep apnea; CSA)を認めた. 本症例の心不全増悪にCSR-CSAが関与していると判断し, adaptive servo ventilato(r ASV): HEART PAPRによる治療介入を行った. 直後より無呼吸イベントの抑制とともに心不全症状やBNP値の改善を認め, この効果は退院後も持続した. ASV導入約6カ月後に心房細動の洞調律化を認め, 経過観察を行っているが心不全による再入院と心房細動の再発を認めていない. うっ血性心不全に合併した睡眠呼吸障害の積極的治療介入の重要性と心不全合併の心房細動に対するASVの有用性が示唆された.

著者関連情報
© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top