心臓
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症例
遅延造影MRI所見が診断に有用であった心サルコイドーシスの2症例
守谷 知香中村 亮岡部 眞典山本 雄祐
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2010 年 42 巻 12 号 p. 1649-1654

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抄録
症例1: 56歳, 男性. 健診で肝臓に多発性腫瘤を指摘された. 精査にて両側肺門リンパ節腫張(bilateral hilar lymphadenopathy; BHL)と血清アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme; ACE)活性高値を認め, サルコイドーシスと診断. 心エコーでは壁運動異常[駆出分画(ejection fraction; EF)=54%], 心内膜心筋生検で類上皮細胞肉芽腫を認めた. Gadolinium造影磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging; MRI)では左室および右室の心外膜側や心筋全層にわたるまだら状の強い遅延造影を認めた.
症例2: 59歳, 男性. 労作時息切れにて近医受診し, 心電図で高度房室ブロックを認め当院紹介. 心エコーで心室中隔基部に限局した著明な壁菲薄化と左室駆出率低下(EF=44%)を認めた. 心内膜心筋生検では異常所見は認めなかった. MRIでは心室中隔基部の右室側を中心に左室前壁と側壁および右室自由壁にまだら状の強い遅延造影を認めた.
2症例とも心電図, 心エコー所見およびMRI所見から心サルコイドーシスと診断しステロイド内服を開始した. 症例1ではステロイドにてMRIの遅延造影像も軽快するのが確認できた. MRIは心サルコイドーシスの診断およびステロイド開始後の経過観察にも有用と考えられた.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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