抄録
背景: 運動負荷心電図による心筋虚血の評価方法は, 現在のところAHAの定めるstandard ST criteria法1)が最も優れているとされている. しかし, 実際の臨床の現場においては心電図だけでは判断できず, 心筋シンチグラフィ, CT2)などの画像診断によることが多いのが実情である. そこで, 虚血の疑われる患者対象にトレッドミル負荷試験を行い, 心電図ST変化をkissing angle score(KA-score)法を用いて定量評価を試みた. 冠動脈造影を施行し得た患者対象を, 有意狭窄のあった虚血群となかった非虚血群に分けてscoreの比較検討を行った. その結果, scoreは虚血群2,872.1±1,763.6に対し, 非虚血群1,068.2±383.4であり, 虚血群で有意に高値(p <0. 0001)であった. また, 冠動脈の多枝狭窄群12例と単独末梢狭窄群8例のscoreの比較検討を行い, 多枝狭窄群5,088. 25±2,262.9に対し単独末梢狭窄群1,671.75±503.8であり, 多枝狭窄群において有意に高値(p <0.0001)であった. トレッドミル運動負荷試験におけるKA-score法は心筋虚血の判定およびおおよその重症度評価にも有効であると思われた.