心臓
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症例
労作性房室ブロックで発症しステロイドが有効であった心臓サルコイドーシスの1例
渡邊 容子山上 伸一郎増田 洋史大木 勇一代田 浩之
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2010 年 42 巻 6 号 p. 781-786

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抄録

症例は61歳,男性.2005年4月に急性心筋梗塞を発症し,左前下行枝にステント留置術を施行した.この時,胸部CT上に縦隔および右肺門部リンパ節腫大を認め,同年7月に縦隔リンパ節生検で,呼吸器系サルコイドーシスと診断された.2006年10月,労作時のめまいが出現し,運動負荷心電図で2:1房室ブロックを認めた.冠動脈造影では有意狭窄は認めなかった.房室ブロック,完全右脚ブロックの存在,心エコーでび漫性の壁肥厚,心筋シンチグラフィでの灌流異常などより心臓サルコイドーシスと診断した.電気生理学的検査におけるWenckebach型房室ブロック出現拍数(Wenckebach rate)は125/分であった.ステロイド治療開始1カ月後,労作時のめまいは消失し,運動負荷心電図で房室ブロックは認めなかった.治療後のWenckebach rateは150/分以上と改善を認めた.労作により顕在化した房室ブロックに対してステロイドが有効であった,心臓サルコイドーシスの1例を経験したので報告する.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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