心臓
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シンポジウム
Brugada症候群におけるホルター心電計を用いたlate potentialとT-wave variabilityによるリスク層別化の検討
吉岡 公一郎網野 真理島 牧義松崎 淳藤井 敏晴町田 直子山口 恵子吉野 美千代神口 浩神田 茂孝出口 喜昭田邉 晃久
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2010 年 42 巻 SUPPL.1 号 p. S1_25-S1_26

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抄録

Brugada症候群における心臓突然死の予知指標は少ない. 今回われわれは24時間ホルター心電計を用いてBrugada症候群におけるLPとT-wave variability(TWV)の日内変動を観察し, 予後予測としての有用性について検討した. 対象は2007年6月から2009年1月までに当院に来院されたBrugada心電図を有する患者のうち, 心電図で自然coved型を有するあるいはピルジカナイド負荷試験陽性であったBrugada症候群患者である. 対象患者をCPAあるいはVFの既往がある群(CPA/VF BS: 9例), 失神群(Syncope BS: 21例), 無症候性群(Asymptomatic BS: 41例)の3群に分類したのち, Ela Medical社製スパイダビューホルター心電計(2.5µV, 1,000Hz)を用いて連続24時間施行し, LPおよびTWV結果を用いて日内変動観察のための周期とも分散分析を行った. 家族歴, 電気生理学的検査によるVF 誘発, 心房細動合併例, 冠攣縮性狭心症合併例に対する独立性の検定に単変量解析を行ったところ患者背景において3群間に有意差はなかった. LPについては, 24時間記録内の深夜00:00時点のLP陽性率は, CPA/VF群において70%と有意に高値であった(p=0.005). TWV陽性率については, 3群間において有意差はないものの, CPA/VF群で72%と高値の傾向が認められた(p=0.051). 判別項目をCPA/VFの有無とした場合の予測因子, 00:00時点でのLAS40, RMS40値とTWVの組み合わせによる陽性的中率が75%であった. ホルター心電図をもちいたLPとTWVの同時解析はBrugada症候群における突然死のスクリーニングのみならず, リスク層別化に有効な可能性が示唆された.

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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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