心臓
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第22回 心臓性急死研究会
凝固能亢進が原因と考えられたbare metal stentに発症したlate thrombosisの1例
石原 嗣郎古賀 徳之加世田 繁村上 昇藤島 慎一郎川副 信行佐渡島 省三
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2010 年 42 巻 SUPPL.2 号 p. S2_203-S2_207

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抄録
症例は77歳, 男性. 食道癌, 肝細胞癌で加療中であった. 2008年8月21日, 右冠動脈のsegment 2からsegment 3にかけての多量血栓による急性心筋梗塞を発症. 緊急の経皮的冠動脈ステント留置術(percutaneous coronary intervention; PCI)を行った. その後, segment 6: 90%に対して待機的PCIを行い, bare metal stent(BMS)を留置した. BMS留置35日後の10月20日, 胸痛を主訴に救急外来受診. 心電図でSTの上昇を認め, 緊急冠動脈造影(coronary angiography; CAG)を行った. 造影では, segment 6に血栓性の閉塞を認め, 遅発性ステント血栓症(late thrombosis; LT)と診断しBMSを留置した. その後, 血行動態が不安定であったため大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping; IABP)を挿入し, ヘパリンなどで管理を行った. しかし, IABP挿入部分から末梢にかけて急性動脈閉塞をきたし, アシドーシスが進行. 全身の循環動態は改善せず, 死亡した. 本症例は, BMSには比較的稀なlate thrombosisをきたし, 原因として担癌患者の凝固亢進状態が関与していた可能性があり報告する.
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© 2010 公益財団法人 日本心臓財団
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