抄録
心血管疾患の予防に向けた生活習慣病のより適切な治療を実現するには, 医師と患者がよく意思を通わせ, 共通の認識をもって治療に臨むことが必要である. そこで, 医療従事者によるさまざまな患者啓発の取り組みが患者にどの程度浸透し, 患者が医療従事者に対し, どのような要望を持っているかを調べるため, 全国の医療機関を通じてアンケート調査を実施した. 3,578例の回答を集計した結果, 生活習慣病患者の多くは自分自身の検査値を認知していたが, 自分自身の治療目標値を知らない患者が2~4割いることが明らかになった. また, 生活習慣改善の重要性を理解している一方で, その実現の難しさを自覚していた. 現在の治療に満足している患者は6割未満で, 患者は一般的な服薬指導や疾患の説明より, 自分に特化された個別の説明を望んでいた.