心臓
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症例
循環不全の治療後にcolon castを伴って発症した虚血性大腸炎の2症例
竹内 庸浩三木 孝次郎藤田 幸一高田 昌紀西堀 祥晴丸山 貴生坂田 仁郎西田 悠野村 祐介牧野 哲哉前田 哲男多田 秀敏
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2011 年 43 巻 10 号 p. 1350-1356

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抄録

われわれは, 循環器疾患患者の治療経過中に著明な粘膜離(colon cast)を伴う虚血性大腸炎を発症した2症例を経験した. 1例目(75歳, 女性)は, 肥大型心筋症, 慢性心不全, 心房細動で加療中であったが, 脱水による循環血液減少性ショックおよび脳梗塞で救急搬送されCCUに入院となった. 経過中に下血にて著明なcolon castを伴う虚血性大腸炎を発症したが保存的に軽快した. 2例目(77歳, 男性)は, 急性心筋梗塞により心停止をきたし, 経皮的心肺補助装置, 大動脈内バルーンパンピングを使用することにより心原性ショックより救命することができたが, 同じくcolon castを伴う虚血性大腸炎を発症し, 腸管穿孔·汎発性腹膜炎で死亡した. 心血管系の疾患を有する患者において, 虚血性大腸炎は遭遇する機会の多い大腸病変の1つであるが, 内視鏡検査所見でcolon castを認めた場合には, 手術療法を念頭においた治療方針の決定が重要となる.en-copyright=

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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