心臓
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臨床研究
入院時高血糖と再灌流された急性心筋梗塞の冠微小循環障害との関連; 造影心筋CTを用いた検討
寺沢 彰浩野田 友則井上 陽介朱宮 孝紀林 雄三近藤 圭太
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2011 年 43 巻 7 号 p. 880-886

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抄録

背景: 急性心筋梗塞(acute myocardial infarction; AMI)で入院時高血糖を呈する患者は予後不良である. その機序として冠微小循環障害の関与が示唆されている. マルチスライスCTによる造影心筋CTで再灌流されたAMIの心筋染影低下は冠微小循環障害を示す. 本研究では, 造影心筋CTを用いて, 再灌流後のAMIの冠微小循環障害と入院時高血糖の関連について検討した.
方法: 24時間以内に再灌流に成功し, 6カ月後に再狭窄を認めなかった初回AMI 40例を対象とした. 入院時血糖値200mg/dL以上をA群(10例), 200mg/dL未満をB群(30例)とし, 比較検討した. 発症10日目に造影心筋CTを施行した. 左室を17セグメントに分類し, 各セグメントにおいて, 動脈相での心筋染影低下の貫壁性の程度(transmural extent of myocardial hypoenhancement; TEMH)を求め, スコア化(0=normal~4=75~100%)した. 発症6カ月後に心エコーを施行し, 左室局所壁運動を半定量評価(0=normal~3=dyskinesis)した.
結果: TEMHはA群(2.3±0.7)でB群(1.8±0.4)に比し有意に高かった(p=0.024). 6カ月後の左室局所壁運動はA群でB群に比し有意に悪かった(A群1.3±0.6対B群0.8±0.6, p=0.036). 両群間で梗塞前狭心症の頻度, 再灌流までの時間, 前壁梗塞の頻度に差はなかった.
結語: 入院時高血糖は, 再灌流された梗塞心筋において冠微小循環障害と関連し, 慢性期の心機能に影響すると考えられた. また, 造影心筋CTは, 再灌流された心筋の冠微小循環評価に有用である.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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