心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
第23回 心臓性急死研究会
冠攣縮性狭心症を有するが, そのほかの不整脈原性基質が否定できない心室細動蘇生例に対する植込み型除細動器(ICD)の適応に関する検討
本間 英恵小谷 英太郎菊池 有史小杉 宗範加藤 活人進藤 朝子渋井 俊之岡崎 怜子吉川 雅智遠藤 育子松本 真遠藤 康実中込 明裕井川 修草間 芳樹新 博次
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_149-S2_153

詳細
抄録

症例は53歳, 男性. フィットネスジムでジョギング中に心肺停止となり, インストラクターによるバイスタンダー心肺蘇生法(CPR), 自動体外式除細動器(AED)にて蘇生され, 当院救命救急センターに搬送された. AEDの解析結果では, 心室細動(VF)に対して除細動が作動した後, 完全房室ブロックを経て洞調律に復帰した記録を認めた. 冠動脈に有意狭窄なく, アセチルコリン(ACh)負荷試験にて左前下行枝起始部に攣縮を認め冠攣縮性狭心症と診断した. 本例は, 突然死の家族歴があり, 心臓MRIにおいてガドリニウム(Gd)遅延造影効果を認めたため冠攣縮以外の不整脈原性基質の存在を否定し得ず, 植込み型除細動器(ICD)の植込みを行った.
VFを契機に発症した冠攣縮性狭心症では, VFの原因が冠攣縮によるものとは限らず, ICDの適応に関しては, 冠拡張薬の有効性に加え, 心筋症などの冠攣縮以外の不整脈原性基質を考慮することも重要である. 当院で経験した類似症例7例の臨床経過を含め, 冠攣縮性狭心症を有するがそのほかの不整脈原性基質が否定できない症例に対するICDの適応に関して考察した.

著者関連情報
© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top