2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_159-S2_163
症例は61歳, 女性. 主訴は意識消失. 2009年12月, 駅のホームで心肺停止となり, 自動体外式除細動器で心室細動(VF)が確認され, 除細動により洞調律化した. その後, 当院へ救急搬送された. 冠動脈に有意狭窄なく, acetylcholine負荷にて右冠動脈の攣縮が誘発され, また左室造影で左心室瘤を認めた. 電気生理学的検査では心室頻拍(VT)·VFは誘発されず, 冠攣縮によるVFと診断した. 植込み型除細動器(ICD)を植え込み, isosorbide dinitrate 40mg, nicorandil 15mg, diltiazem 90mg の内服を開始した. 内服4カ月後にVFによるICDの作動を4回認めた. 冠攣縮予防強化目的でnifedipine 40mg追加したが, 同日VF再発し再入院となった. 十分なCaブロッカー投与にもかかわらずVFを繰り返しており, 冠攣縮以外のVFの原因を検討した. 右室造影では右室の著明拡大, 遺伝子検索ではSCN5Aの遺伝子異常, CARTO voltage mappingでは右室, 左室前壁中隔に及ぶ, 冠動脈領域とは無関係な異常電位と広範な遅延電位を認めた. 心筋生検の結果, 非乾酪性肉芽腫を認め, 心サルコイドーシスと診断した. その後prednisolone内服により, 6カ月間VFは出現していない.