心臓
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第23回 心臓性急死研究会
初発症状が心室細動であり, 診断に難渋した心サルコイドーシスの1例
大西 克実丹野 郁伊藤 啓之櫻井 将之李 慧玲浅野 拓濱嵜 裕司木庭 新治阿久津 靖酒井 哲郎小林 洋一
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_159-S2_163

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抄録

症例は61歳, 女性. 主訴は意識消失. 2009年12月, 駅のホームで心肺停止となり, 自動体外式除細動器で心室細動(VF)が確認され, 除細動により洞調律化した. その後, 当院へ救急搬送された. 冠動脈に有意狭窄なく, acetylcholine負荷にて右冠動脈の攣縮が誘発され, また左室造影で左心室瘤を認めた. 電気生理学的検査では心室頻拍(VT)·VFは誘発されず, 冠攣縮によるVFと診断した. 植込み型除細動器(ICD)を植え込み, isosorbide dinitrate 40mg, nicorandil 15mg, diltiazem 90mg の内服を開始した. 内服4カ月後にVFによるICDの作動を4回認めた. 冠攣縮予防強化目的でnifedipine 40mg追加したが, 同日VF再発し再入院となった. 十分なCaブロッカー投与にもかかわらずVFを繰り返しており, 冠攣縮以外のVFの原因を検討した. 右室造影では右室の著明拡大, 遺伝子検索ではSCN5Aの遺伝子異常, CARTO voltage mappingでは右室, 左室前壁中隔に及ぶ, 冠動脈領域とは無関係な異常電位と広範な遅延電位を認めた. 心筋生検の結果, 非乾酪性肉芽腫を認め, 心サルコイドーシスと診断した. その後prednisolone内服により, 6カ月間VFは出現していない.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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