心臓
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第23回 心臓性急死研究会
低体温療法適応の急性冠症候群について
—どのような症例に緊急PCIを行うか—
高橋 宗一郎梅谷 健吉崎 徹中村 政彦瀬戸 俊邦相沢 一徳小林 辰輔松田 潔
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_175-S2_181

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抄録
心肺蘇生後状態の患者の生命予後, 神経学的予後改善のため, 急性期の冠動脈造影(CAG), 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)および低体温療法が有用とされている. 今回, われわれは当院での症例をもとに, 心肺停止蘇生後において低体温療法施行前のCAG, PCIについて後ろ向きに検討した.
当院で心原性心肺停止蘇生後に低体温療法を行った症例は36例であった. 低体温療法施行前に緊急CAGを行った症例は左冠動脈前下行枝(LAD)病変が多く, 全例緊急PCIを行った. 緊急CAG非施行群と比較して, 左室駆出率(LVEF)は同等であったが, BNPは低い傾向であった. ST上昇のある急性冠症候群(ACS)の心肺蘇生例に対して, 緊急CAG/PCIを行った症例は院内生存率が高かった. また, ST変化のない症例は低体温療法を先行させても, 院内生存率は低下しなかった. 心肺蘇生後のACS患者に対して, 適切に低体温療法, 緊急CAGおよびPCIを行い, 生命予後, 神経学的予後を改善させることが重要である.
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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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