心臓
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第23回 心臓性急死研究会
完全房室ブロックに対しペースメーカー植え込み後, 心室細動/心室頻拍を発症し, ICDの再植え込み手術を必要とした心サルコイドーシス疑いの2症例
西山 信大佐藤 俊明木村 雄弘福本 耕太郎相澤 義泰三好 俊一郎高月 誠司福田 恵一小川 聡
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2011 年 43 巻 SUPPL.2 号 p. S2_46-S2_51

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抄録

心サルコイドーシスは房室ブロックだけでなく心室頻拍や心室細動を合併し, 突然死にいたることがある.
症例1: 61歳, 女性. 2000年, 完全房室ブロックに対しペースメーカー植え込み. 術前, 左室収縮能軽度低下, Gallium-67citrateシンチグラムにて, 心臓への異常集積を認め, 心サルコイドーシスが疑われた. 他臓器のサルコイドーシス合併はなく, 当時の診断基準では, 診断にいたらずステロイド治療は行われなかった. 約3年後, 心不全の急性増悪とともに心室頻拍が頻回に出現し植込み型除細器(ICD)植え込みとなった.
症例2: 58歳, 女性. 2007年, 完全房室ブロックに対しペースメーカー植え込み. 翌年, 心エコー上で心室中隔基部の菲薄化ならびにGallium-67citrateシンチグラムにて, 心臓への異常集積を認め, 肺病変も強く疑われたため, 心サルコイドーシスと診断された. ステロイド投与が開始されたが, 約1年後に心室細動を発症しICD植え込みとなった.
完全房室ブロックにて発症し, ペースメーカー植え込み後, 約3年以内にICD植え込み手術が必要となった心サルコイドーシス疑いの2症例を経験した. 心サルコイドーシスに対する心臓植え込みデバイスの選択が, 困難な症例であり報告する.

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© 2011 公益財団法人 日本心臓財団
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