目的:外来血圧変動は,中心血圧とともに心機能に影響があると考えられている.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor antagonist;ARB)−カルシウム拮抗薬(calcium channel blocker;CCB)併用療法とARB−利尿薬併用療法について外来血圧変動,中心血圧,左室肥大,左室拡張能に及ぼす影響を比較検討した.
対象・方法:ARB単独治療で12週間を経過しても降圧不十分な60名の患者に対し無作為に上記2種類の併用療法に分け,48週間併用療法を続けた.外来血圧変動は48週間で13回の血圧値の標準偏差で表した.中心血圧,左室肥大,左室拡張能はそれぞれ併用療法前と併用療法48週後の差で求めた.
結果:併用療法前後で外来血圧,心拍数は2群間で差を認めなかった.中心血圧(p<0.05),左室肥大(p<0.05),左室拡張能(p<0.05)では,ARB−CCB併用療法のほうがARB−利尿薬併用療法より有意に改善した.また,48週間の血圧変動でもARB−CCB併用療法のほうがARB−利尿薬併用療法より少なかった(p<0.05).
まとめ:外来血圧変動,中心血圧,心保護から考えるとARB−CCB併用療法がARB−利尿薬併用療法より有用であると考えられる.