心臓
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臨床研究
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬−カルシウム拮抗薬併用療法とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬−利尿薬併用療法における外来血圧変動に及ぼす影響の差異について
高見 武志
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2012 年 44 巻 12 号 p. 1504-1508

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抄録

目的:外来血圧変動は,中心血圧とともに心機能に影響があると考えられている.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor antagonist;ARB)−カルシウム拮抗薬(calcium channel blocker;CCB)併用療法とARB−利尿薬併用療法について外来血圧変動,中心血圧,左室肥大,左室拡張能に及ぼす影響を比較検討した.
対象・方法:ARB単独治療で12週間を経過しても降圧不十分な60名の患者に対し無作為に上記2種類の併用療法に分け,48週間併用療法を続けた.外来血圧変動は48週間で13回の血圧値の標準偏差で表した.中心血圧,左室肥大,左室拡張能はそれぞれ併用療法前と併用療法48週後の差で求めた.
結果:併用療法前後で外来血圧,心拍数は2群間で差を認めなかった.中心血圧(p<0.05),左室肥大(p<0.05),左室拡張能(p<0.05)では,ARB−CCB併用療法のほうがARB−利尿薬併用療法より有意に改善した.また,48週間の血圧変動でもARB−CCB併用療法のほうがARB−利尿薬併用療法より少なかった(p<0.05).
まとめ:外来血圧変動,中心血圧,心保護から考えるとARB−CCB併用療法がARB−利尿薬併用療法より有用であると考えられる.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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