心臓
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症例報告
陽圧呼吸療法が奏効した睡眠呼吸障害を伴う3症例
馬崎 徹森永 崇横井 宏佳岩渕 成志延吉 正清
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2012 年 44 巻 12 号 p. 1582-1588

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抄録

睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing;SDB)は,心不全などの循環器疾患に合併し予後を悪化させることが報告されている.陽圧呼吸療法が奏効したSDBを伴う循環器疾患3症例につき報告する.
症例1:85歳,女性.慢性心不全,治療抵抗性高血圧.過去2年の間に心不全増悪のため3度入院していた.降圧薬は6剤併用.2011年6月4度目の心不全入院となった.退院直前に終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomno­ graphy;PSG)施行したところ重度のSDBを認め持続呼吸陽圧(continuous positive airway pressure;CPAP)療法を導入した.以後,血圧,無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index;AHI)ともにコントロール良好となり,現在まで再入院はない.
症例2:73歳,男性.急性心筋梗塞,重症心不全.2009年11月左冠動脈主幹部閉塞による急性心筋梗塞発症.緊急経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行し救命に成功したが,術後重症心不全状態が続き低心機能となった.退院前にPSG検査施行したところ重度のSDBを認めたため,CPAPを導入したが認容できず,adaptive servo ventilation(ASV)へ変更したところ使用感改善し,左室駆出率も改善した.現在まで約2年間心不全発症なく継続している.
症例3:70歳,男性.急性大動脈解離,治療抵抗性高血圧.2011年8月急性大動脈解離発症し,保存的加療のため入院となった.治療抵抗性高血圧を認め,降圧薬持続点滴から離脱困難であった.夜間譫妄を併発したため鎮静を必要としたが,睡眠中の無呼吸が観察され,PSGにてチェーン・ストークス呼吸様パターン優位の重度のSDBを認めた.夜間のASV装着にて内服のみでの血圧コントロール良好となり,軽快退院となった.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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