心臓
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第24回 臨床不整脈研究会
PVCの潜行性逆伝導が頻拍中の房室伝導に影響を与えたfast/slow型AVNRTの1例
安岡 良文栗田 隆志小竹 康仁赤岩 譲野並 有紗元木 康一郎宮崎 俊一
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2012 年 44 巻 SUPPL.3 号 p. S3_69-S3_73

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抄録

症例は動悸を主訴とする46歳,男性.発作時の心電図でnarrow QRS tachycardiaが記録されている.EPSではS1=600ms,S2=330msの心房期外刺激にて心室に2:1伝導する上室性頻拍が誘発された(心室の周期650ms,心房の周期320~350ms).房室伝導のブロック部位はHis束より近位で,心房興奮の最早期はCS入口部であった.2:1伝導の頻拍は連結期440~570msの範囲に限定されたPVCにより心房がリセットされずに1:1房室伝導に変化した.頻拍停止後の右室ペーシングにて頻拍中と同じsequenceで逆伝導を認めた.Para-Hisian pacingはAV nodal patternであった.頻拍はfast-slow型AVNRTであり,房室結節の下位共通路で2:1ブロックされていたものと診断した.PVCによる1:1伝導への変化は適度な連結期を有するPVCが下位共通路に侵入し,同伝導路内で順行性伝導とcollisionすることでERPの短縮が生じたため出現したと考えられた.

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© 2012 公益財団法人 日本心臓財団
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