心臓
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症例
健診の胸部単純X線写真における左第3弓の突出および石灰化が発見の契機となった, 動脈瘤を伴う冠動脈肺動脈瘻の1例
長谷部 智美小川 裕二貴田岡 享柴山 佳一郎佐藤 篤志太田 貴文塩越 隆広加藤 淳一長谷部 直幸安達 昭吉本 公洋大場 淳一
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2013 年 45 巻 5 号 p. 535-540

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抄録
 症例は, 64歳, 女性. 10年以上前から健診の胸部単純X線写真で左第3弓突出および石灰化を指摘されていた. 心エコー図では異常を認めず経過観察となっていたが, 本人の希望で当科を受診, 心精査を施行した. 冠動脈造影およびMDCTで異常血管および瘤を認めた. 異常血管は右冠動脈直上より起始し肺動脈円錐部前面を走行した後, 石灰化を伴う瘤を形成し, 主肺動脈左方に開口していた. 瘤径は30mm以上であり, 壁在血栓を認めた. また, この異常血管は解剖学的に孤立円錐枝と考えられた. 治療は瘤径が大きく破裂の危険性があることを考慮し, 異常血管の結紮・瘤切除および瘻孔閉鎖術を施行した. 冠動脈瘻および冠動脈瘤は健診の胸部単純X線写真や心雑音が発見の契機となることも少なくないため, 無症状でも鑑別の1つとして考慮する必要があると考えられた.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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