心臓
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第25回 心臓性急死研究会
カテコラミンにより誘発される両方向性心室頻拍を呈するQT延長症候群の 1例
山下 周田中 泰章高宮 智正鈴木 雅仁前田 真吾佐々木 毅笹野 哲郎川端 美穂子横山 泰廣平尾 見三
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2013 年 45 巻 SUPPL.2 号 p. S2_21

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抄録

 症例は21歳, 女性. 11歳時と14歳児に失神歴がある. 15歳時に運動中に心肺停止となり回復. 某大学病院でQT延長症候群と診断されβ遮断薬を内服していた. 今回, 友人と会話中に突然意識消失, 心肺停止となり当院へ搬送された. 救急車内での心臓マッサージで心拍は再開したが, モニタ心電図上, 両方向性心室頻拍 (VT) が出現, 自然停止した. 運動負荷試験では, QT延長と両方向性VTが誘発された. Epinephrine負荷試験では低容量負荷でQTが著明に延長, 投与量を増やすと両方向性VTが誘発された. Andersen-Tawil症候群 (ATS) を疑わせる身体的特徴は認めず, KCNJ2を含めた既知の遺伝子変異は同定されなかった. 植込み型除細動器 (ICD) 植込みとmetoprololの内服で経過観察したがVTによるICD頻回作動が記録されたため, flecainideを追加, 以後VTは全く出現しなくなった. ATSを除いて両方向性VTを認めるQT延長症候群の報告はなく極めて稀有な症例と考え報告する.

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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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