心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
CARTO SOUNDを用いた左室特発性心室頻拍回路上の解剖学的構造とプルキンエ電位との関連を検討しえた 1例
藤林 大輔森田 典成上野 亮飯田 剛幸南川 翔駒井 太一笠井 智司牛島 明子及川 惠子松陰 崇小林 義典
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_136-S3_141

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抄録
 左室特発性心室頻拍 (ILVT) の多くは左脚後枝 (PBB) 内のリエントリーと考えられているが, 同回路の構造的と電気生理学的所見との関連性は不明な部分が多く残されている. 症例は56歳, 男性. 胸部違和感で当院受診, 心拍数175bpmの単形性心室頻拍 (VT) を呈した. VT中のQRS波は右脚ブロック左軸偏移型で, QRS幅は92msecであった. 構造的心疾患を認めず, PBB領域のプルキンエ (P) 線維の関与するILVTと考えられた. 心臓電気生理学的検査では右室頻回刺激にて臨床的 VTが誘発され, カルトサウンド (CAS) を用いてマッピングを施行. 後中隔PBB領域に複数の仮性腱索 (FT) を認め, VT中に心基部から心尖部側へ走行するFTに沿って拡張期電位 (P1) が記録された. かかるFT心尖部側付着端に直行し後乳頭筋へ伸展する異なるFTが観察され, 中隔側起始部付近でP1と前収縮期電位 (P2) は癒合した. 同融合部から心基部側のP1, P2記録部にて通電し, 以後VTは誘発不能となった. 今回CASを用いてILVT回路上のP電位記録部と構造的特徴との関連を検討した症例を経験し報告する.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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