心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
Unmappable VTに対してEnSite-NavX mappingが有用であった 1例
瀬谷 美瑛山分 規義田村 夏子稲村 幸洋中村 知史高山 啓金子 雅史清水 雅人藤井 洋之西﨑 光弘櫻田 春水平岡 昌和
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_189-S3_195

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抄録
 症例は47歳の男性. 陳旧性下壁心筋梗塞による低心機能であり, 非持続性心室頻拍 (NSVT) を認めたため 8年前にVTに対してカテーテルアブレーションを施行した後, 植込み型除細動器 (ICD) 植え込み術を施行した. その後症状なく経過していたが, 今回VTが出現しICDが繰り返し作動したため来院した. 電気生理学的検査では 3種類のVTが誘発され, Cycle length 310msの右脚ブロック上方軸のVT (VT1) を頻回に認めた. EnSite-NavXでは洞調律時にvoltage mapping, VT時にactivation mapping, を施行した. 後者は血行動態不良のため, 緩徐伝導路を推定した領域を中心にmappingをした. 洞調律時のvoltage mappingでは下壁に広範な低電位領域を認め, scar辺縁の低電位領域にdelayed potentialを認めた. また, 同部位にVT中にpre-systolic potentialを認めp-QRSは40msであった. 同部位にてVT1と酷似した良好なpace mappingが得られ, S-QRSは40msであり, この領域が緩徐伝導路と考えられた. Propagation mappingにおいても同部位で緩徐伝導路が示唆されたため, 線状に通電を行ったところVTは誘発されなくなった. アブレーション後VTの出現はなく経過している. 以上, EnSite-NavXによるmappingがunmappable VTアブレーションにおいて有効であったと考えられた.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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