抄録
症例は66歳, 女性. 透析中に発作性心房細動/粗動により血圧が低下し, 透析困難となるためアブレーション目的に当科紹介となる. 2012年 6月に肺静脈隔離術および三尖弁輪-下大静脈解剖学的峡部のアブレーションを施行した. 術後 3カ月は経過良好であったが心房頻拍が出現するようになり10月に再アブレーションを施行した. 右肺静脈は隔離されていたが左肺静脈は再伝導していた. 心房頻拍中の左肺静脈電位と心房電位は1 : 1伝導し, 心房電位の最早期興奮部位は左肺静脈隔離ラインの後下壁であった. 左肺静脈内および左心房後壁から天蓋部の心房側でpost pacing intervalは頻拍周期に一致していた. 2つの再伝導部位を回路に含む左房-肺静脈マクロリエントリー性心房頻拍と診断し肺静脈へのentrance部位の左肺静脈天蓋部で通電したところ頻拍は停止した. 同部位の伝導はブロックされていなかったが頻拍は誘発不能となり洞調律中に同部位および左肺静脈後下壁の通電にて左肺静脈は隔離された.