心臓
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[症例]
SLE関連心膜心筋炎の2症例
福岡 秀介山本 重忠宮村 有紀子泉 大介坂井 正孝幸治 隆文松岡 宏治宮原 眞敏
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キーワード: SLE, 心外膜炎, 心筋炎
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2014 年 46 巻 1 号 p. 79-87

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抄録

 全身性エリテマトーデス (systemic lupus erythematosus ; SLE) の心合併症としては心外膜炎, 心筋炎, 心内膜炎, 冠動脈病変が知られている. 今回われわれは, SLE関連心膜心筋炎と診断した2 症例を経験した. 1 例目は42歳, 女性, SLEの診断でステロイドとシクロスポリンを内服していた. 動悸と呼吸困難で救急搬送となり, 肺炎・うっ血性心不全の診断で入院となった. 心エコー検査で左室壁運動のび漫性壁低下が認められSLE関連心筋炎の存在を疑ったが, SLEの疾患活動性は低くプレドニゾロン, シクロスポリンの増量は行わなかった. 15カ月後の心エコー検査では左室壁運動の低下は残存していた. 19カ月後の心臓MRI検査で心筋浮腫像や遅延造影は認められなかったが, 経過から慢性心筋炎と診断した. 2 例目は47歳, 女性, SLEと診断されステロイド治療を勧められていたが拒否していた. 労作時呼吸苦で受診され, 心エコー検査で左室壁運動のび漫性低下, 中~高度の心嚢水貯留を認めた. 心筋生検で心筋炎に特徴的な所見は認められなかったが, 臨床経過や心臓MRI検査からSLE関連心膜心筋炎と診断した. ステロイド内服治療を開始したところ, 次第に心不全症状と心嚢水・心機能の改善が得られた. 5 カ月後の心エコー検査では, 左室壁運動は正常化していた. 膠原病患者の心病変は, 疾患活動性, 重症度, 生命予後を規定する因子である. 早期に診断し, 適切な治療を行うことが重要である.

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© 2014 公益財団法人 日本心臓財団
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