2014 年 46 巻 12 号 p. 1601-1606
症例は44歳女性. 2013年7月下旬より感冒症状あり近医にて処方を受けたが, その後に労作時の呼吸苦と動悸症状が出現し当院を受診した. 心電図で頻脈性心房細動とST上昇を認め, 心エコー図で全周性の壁肥厚と心嚢液の貯留を認めた. 採血では甲状腺機能亢進症が認められ, 急性心筋心膜炎にバセドウ病を背景とした頻脈性心房細動が合併した心不全と判断し治療を開始した. 経過中に好酸球の上昇を認め, 薬剤性を疑い薬剤を中止したが, 1週間後に呼吸苦が増悪した. 好酸球増多症と心エコー図で心肥大と心嚢液貯留の改善を認めなかったため心筋生検を施行した. 病理像では好酸球の浸潤を認め好酸球性心筋炎と診断し, ステロイド投与を開始したところ心不全症状は速やかに改善し, 胸部単純X線写真・心エコー図・採血でも改善を得られた. 薬剤による反応が原因と考えられた急性好酸球性心筋炎に対して, 心不全治療に抵抗を示したが, ステロイド療法により著明な改善を得られた症例を経験したので報告する.